| 匠の技の数々改修前の瓦葺きは「湿式」と呼ばれる古くからの手法で,下地に土を敷いて瓦を葺いていた。瓦の破損・崩落の主な原因は,長い年月の間に風雨で下地の土がずれ落ちてきたことと小屋裏の鉄骨の強度不足による。今回の改修では,下地に木材を使い瓦を葺く「乾式」が採用された。
 葺替え作業の流れは次のように行われる。
 1. 既存の瓦を撤去する。
 2. 下地の土を高圧洗浄で落とす。
 3. 土を落とした屋根の表面は凹凸があるため,防水モルタルを吹き付けて平らにする。
 4. 屋根に横桟・縦桟を敷設する。
 5. 桟木に瓦を置いて釘をうち,瓦を設置する。
 今回使用する瓦には“かえし”と呼ばれる凹凸をつけ,瓦同士の収まりをよくする工夫がされている。これにより,従来3枚の瓦を重ねて設置していたものが2枚で済み,瓦の使用数が約13万枚から11万8,000枚に低減でき,コスト削減,屋根の軽量化を図ることができた。
 
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